Saturday, February 18, 2006

教育が悪いんだってばっ

妄言には妄言で対抗してみる。

教育が悪いんだってばっ。この世の中で悪いことが起こるのはみんな教育が悪いんだってばっ。

毎日新聞に載ってた記事

安倍官房長官:ライブドア事件は「教育が悪いからだ」

安倍晋三官房長官は16日夜、東京都内のホテルで、小泉純一郎首相と自民党総務会メンバーらとの会食に同席した。安倍氏はこの中で「ライブドア事件(の原因)は規制緩和と言われるが、教育が悪いからだ。教育は大事で、教育基本法改正案も出したい」と述べ、同方改正案の今国会成立に意欲を示した。

毎日新聞 2006年2月16日 23時13分

で、50年後。

「まったくなんて世の中だ」
「教育が悪いんだってばっ」
「誰だよ、こんな教育にしてのは」
「・・・」
「・・・」

そんなわけで、名宰相と謳われた安倍晋三の黒歴史に新たな一ページが加わえられる。

いつの時代でも若者=青少年は非難の対象になりうる。それは50年後も100年後も変わらないだろう。だから教育制度をいじるのは慎重になった方が良い。あとになって、あんな制度を作ったの誰だ、と追及されるだけである。制度を変えたらすべてが良くなると考えるのは幻想である。少し変われば良い方である。物事は少しずつ動かすのが良い。

悪いことはすべて○○のせいだとして、その○○を一切合財変えればよいと考えるのは少し浅はかである。それは歴史の忘却=黒歴史の創造の始まりである。

Friday, February 17, 2006

メダルゼロ不安と勝ち組幻想

2006年2月16日の東京新聞が特報面でトリノオリンピックでの日本選手の成績不振を取り上げていた。メダルゼロになれば1976年のインスブルック大会(オーストリア)以来、30年ぶりだそうである。テレビが盛んに取り上げて多くのメダルが取れるような幻想を振りまいたことを取り上げた記事である。勝利が期待されながら日本の選手が次々敗退していくさまは、まるでナチスのベルリンオリンピックみたいだ、といえるかもしれない。しかし、いかにもな反応をしてもあまり意味がない。

スポーツジャーナリストの谷口源一郎氏は語る。

負けたのは選手ではなく”メダル幻想”を振りまいたメディアだ。
日本を勝ち組にしたいメディアが特定選手を『メダル有望』と盛んに持ち上げた。海外にどんな選手がいるのか、実力がどのくらい違うのかといった比較・検証はほとんどなかった。メダルへの期待を盛り上げるだけ盛り上げてために、現実にぶつかって『何だ』という話になっている。
しかし、テレビは高額の放送権料を支払っているのだから、見てもらうために盛り上げようとすることを責めることはできない。何でも商業化の世の中なのだから、そうするのは当然のことである。そこはテレビとの付き合い方である。盛り上がりたいのは視聴者=国民も同じで、食い物にされたと文句を言うのはおかしなことである。自分語りが避けられない時代であるのだ。

漫画家のやくみつる氏は「メダルゼロ不安」を斬る。

メダルを待望する話より、無名ながら五輪選手になったスピードスケートの及川佑選手や、腰の手術を乗り越えた岡崎朋美選手らの苦労話の方が面白い。単に敗者にしてしまうのに忍びないストーリーにこそ見応えがある。
ここにあるのは美談を待ち望む心性である。こういった美談も悪くはないが、粉飾されがちである。集団陶酔のための物語消費という側面もある。ライブドアに関する言説にも似たようなところがある。日本人をひとつに纏め上げるための祭りになっている。祭りの後には何が残るだろうか。躁のあとの鬱。

年配の男性がトリノオリンピックを鳥のオリンピックだと思った、という冗談がある。そのくらいが丁度いい。

Tuesday, February 07, 2006

王朝交替の見方

終息しそうな雰囲気だけど、王朝交替についてのとりあえずのまとめ。

男系維持派は女系移行を皇統の断絶としている。父の系統を重視しているから、その系統の変更を「王朝の交替」と受け取っているようである。

女系移行派は現皇室の血筋の維持を重視している。たとえ皇統につながっているにしても、旧皇族の皇籍復帰を新皇室の創設と見ている。それを「王朝の交替」と受け取っているようである。

両派の溝は深くて広い。この溝は埋まりそうにない。どちらの方法でも「王朝の交替」と受け取られる可能性がある。お互いにそう見ているし、世論にもそう見られる可能性はある。そうならないように、両派は手を尽くすべきであるが、そうはしていない。両派ともに言説編成に失敗しているのである。

世論が「王朝の交替」をどう思っているか知りたいところである。しかし、秋篠宮文仁親王妃紀子殿下が懐妊したそうなので、男子誕生確定なら、いま書いたことが世論に問われることはない。残念な気もするが、妃殿下懐妊は喜ばしいことなので、仕方がない。

Wednesday, February 01, 2006

天皇の制度の終わりの始まり

男系維持派は皇統の女系移行を左翼の陰謀だとしている。天皇制廃止の陰謀であると。しかし左翼は、女系移行は天皇制を永続化するものだとして、強く反対している。左翼は皇男子が絶えた時点で、天皇制は終わりだと見ている。男系維持にこだわりすぎることは、左翼を助けることにつながるだろう。皇統が男子によってのみ受け継がれるものであるならば、その時点で男系維持派のいう天皇の制度は終わりにしなければならなくなる。

男系維持派は未来の保守派のことを考えていないようである。愚かしいことである。将来のために、今からリソースを用意しておくべきである。結論の先送りは、男子が絶えた後の女系移行をとても困難にしてしまうだけある。終わりにするのであるならばまったく構わないが。