Saturday, January 21, 2006

天皇言説の再編成の失敗、あるいは僕たちの失敗

皇室の再編成、つまり旧皇族の皇籍復帰には天皇言説の再編成が必要かと思う。また、皇統が女系に移行した場合にも別の形の再編成が必要になるだろう。そういった意味でどちらにせよ、皇統は危機にある。言説の再編成に失敗すれば、皇統は実質上断絶することになる。しかし、男系維持派も女系移行派も言説の再編成にうまくいっていないように見える。

過去に明治時代の大日本帝国憲法や第二次大戦後の日本国憲法の下で言説の再編成は行われた。天皇の御真影の配布や全国の巡幸などが用いられた。そして、そのときの状況に合致した新しい天皇像、皇室像が形作られた。

現在の状況では相当強力な言説が必要になる。現在は冷笑圧力が強い時代である。しかしそれに対抗できるだけの言説が出ていない。男系維持派は神聖性や日本の滅びを言うばかりである。天皇の掩蔽や不安を煽る言説で大勢の支持を得ようとしている。女系移行派は現状追認で、現実に流されているだけである。そこには何の積極性も新しさもない。あるのは消極性と退廃だけである。もし本気で自らの支持を得たいのなら、もう少し戦略的に行動するべきだろう。結論の先延ばしは本当の意味で皇統の断絶を招くだろう。

そうは言っても、自分たちが死んだ後の話など、予言めいたことでしかないのである。ここら辺が議論が盛り上がらない原因だろう。そんな私も言説には関心があるが、皇統の行く末にはあまり関心がない。その瞬間を目撃することは難しいだろうから。

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