Wednesday, January 04, 2006

超政治

毎日新聞に寛仁親王殿下のインタビューの記事があった 。皇室典範改正問題についての質問にも応じていた。殿下の発言は男系維持を主張するものである。そのことに異論はない。憲法第4条の制約を受けて政治と結び付けられないようにしているからなのだろうし、私が曲解しているのだろうが、気になったことがある。

それは次の部分。

■皇室典範改正
皇室のあり方に関する問題を有識者会議による1年、三十数時間の議論で決めてしまうことに素朴な疑問を抱く。この問題は、政治を超えたものだ。多くの国民が歴史を理解したうえで大いなる論議がわき上がって、国会で、審議に審議を重ねて結論が出ればと思う。男系で継いできた歴史は、一度切ってしまえばつなげないことを分かってほしい。

国会や内閣は政治の場である。「政治を超えた歴史の問題」を国会で審議はできない。天皇制を政治の範疇に置いておくのであるならば、国会で審議すべきだろう。歴史の問題であるならば皇室自身で決めることができるが、天皇制を政治から切り離すしかない。憲法に天皇の規定をおくことは不適切となるだろう。 政治ではないことを国会で審議に審議を重ねても結論は出まい。政治の結論は出ても、政治でないことの結論は出ない。

これは国家が政治的になってしまったとの帰結である。国家のことを政治的以外に決めることはできなくなっている。天皇制の歴史の重みはわかるが、それを重視するには国家を歴史的にするしかない。国家の決定を歴史的にするしかない。国家の現在を過去にゆだねるしかない。

政治を超えた問題を政治家に結論を出させることは酷であろう。政治家の職責を超えている。歴史の問題は歴史自身が結論を出すのではないだろうか。国家とは関係なく。

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