Wednesday, January 11, 2006

続・スタンバイ国家

承前(「スタンバイ国家」)

朝鮮日報の1月6日付社説『「戦争は起こらない」と信じて服務している若き兵士たち』によると現役の兵士10人のうち6人が、これから韓半島(朝鮮半島)で戦争が勃発する可能性はないと信じているという調査結果が報道されたそうだ。北朝鮮の武力解放の可能性をかなり高いと見ている私の立場はまるでない。北朝鮮と対峙している最前線の韓国軍の現役兵士の63%は、北朝鮮を「敵ではなくパートナーの関係」と見るべきと答えたのは大変な驚きである。韓国の保守派が不安になるのもわからなくもない。

もうひとつ驚くことがある。韓国の保守派も日本の保守派と似たようなことを考えていることだ。

しかも、韓国の公共教育を牛耳っている全国教職員労働組合がここ17年間、地道に進めてきた「反APEC共同授業」といったイデオロギー教育を通じて、世界を色眼鏡で見る教育を受けて、もっとも重要な成長期を過ごした世代だ。
日教組批判と同じ構図である。そして、対抗イデオロギー教育が必要だと言うのだろう。
このような状況下で、最後の砦(とりで)ともいえる軍の中枢的世代が精神的武装を解除してしまったこの状況に、いったいどう対処すべきなのか、心は沈むばかりだ。

スタンバイ国家も大変である。これはイデオロギー防衛論でしかないように思う。朝鮮半島では冷戦は終わっていないのだった。世界は国家が相手とは限らない対テロ戦争に移行しつつあるのに。北朝鮮問題は対テロ戦争の枠組みには収まりきらないから仕方のないことではあるが。

そうは言っても、韓国が北朝鮮と対峙しているからこそ、日本は平和を享受できるわけだから、私の発言はとても無責任なものである。もちろんこの世界から戦争がなくなるとはまったく思っていない。人間は衝突を性とする生き物である。戦いに終わりが来ることはない。





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