Thursday, December 29, 2005

スタンバイ国家

韓国の国家人権委員会(委員長チョ・ヨンファン)が26日、いわゆる「良心的兵役拒否」を認め、国会議長と国防省長官に代替服務制導入を勧告することにした 。 人権委は、

「良心的兵役拒否は憲法と『市民的・政治的権利に関する国際規約』上、良心の自由保護範囲内にいる」
「兵役の義務が国家の安全保障のための国民の必要的義務である以上、良心的兵役拒否権と兵役の義務が調和のもとに共存できる代替服務制を取り入れるよう勧告する」
「判断には憲法第19条(良心の自由)、世界人権宣言などに準拠した」
「良心の自由は国家非常事態でも留保されることができない最上級の権利」
「現在の制度には『良心的兵役拒否およびそれによる刑事処罰』と『単純な兵役義務の履行』間で二者択一式の解決方法しかない」とし「憲法上、良心の自由と国防の義務が調和されて共存できる方法は国防の義務を遂行することができる代替服務制度を用意すること」
「代替服務制を取り入れる場合、認定可否を公正に判定する機構が設置されなければならない」
「代替服務期間は初期段階では現役服務期間を超過しても追後、国際的基準によって段階的に縮小しなければならない」
代替服務の領域は社会の平和と安定、秩序維持および人間保護に必要な奉仕と犠牲の精神を要する領域の中でわれわれの実情に合わせて採択しなければならない
とした。

良心的兵役拒否制度は西欧諸国で取り入れられている(Wikipedia日本語英語 )とはいえ、北朝鮮と事を構えているスタンバイ国家の韓国に導入は無理だろう。イスラエルのような紛争地域では認められていない。そういうわけで韓国でも反発は多い中央日報は社説で、余計なことをして混乱を招いていると批判する 。安全保障を重視する立場からすれば当然過ぎる意見である。

人権委の決定は、国際的な人権原則からすれば当然ありうるものである。国連人権委員会は良心に基づく兵役拒否を承認しているし、アムネスティはこうした人たちを「良心の囚人」としている 。そうは言っても、韓国のような戦争最前線にある国家には先進的過ぎると思う。韓国において、良心的兵役拒否制度の導入は統一後に行うのが、多くの同意を得られやすいだろう。これは平和の果実として享受できるものである。



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