Tuesday, December 27, 2005

NEET言説の起源

「 社会と犯罪」より引用。

青少年は、学校で出席を監督されているか、職場で雇用主に監督されているべきなのだった。路上にいたのでは、教育も受けず労働もしないまま、長い目で見て自分にも社会にもためにならない方法で金を稼ぐばかり、というわけだ。ボーア戦争に送り込む健康な兵士の確保が困難だったことから、英国の偉大さを将来維持してゆくべき世代が道徳的・肉体的に退化してゆくことへの不安が、高まった。国際関係がとげとげしさを増してゆく中、少年を、果断で何よりも規律を身に付けた一人前の男性に仕立てることが、かつてにもまして重要になってきたのである。
19世紀末のイギリス社会の青少年に対する認識なのだが、 現代とあまり変わらない。NEET(Not in Employment, Education or Training) という言葉は最近生まれたはずであるが、100年以上も前から問題になっていたようである。

わが国で、最近クレイムメイキングされている理由は、”国際関係がとげとげしさを増して”いるからだろうか。もちろんそんなことはないが、衰退不安が強く反映されているのはたしかだろう。最近流行の”若者”バッシングは”大人”たちの権威の崩壊に対する不安のためでもある。”大人”たちは自分たちに対する尊敬を得たいがため、あるいは取り戻したいがために、こういった言説を流布しているのだろう。

イギリスにおいて100年以上から問題視されて、解決に至っていないのであるとすると、今のわが国で起こっている論争とやらの不毛さが感じられる。

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